当人の意思を尊重する「老々介護」を

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「老々介護」世帯が増え続ける現在。栗橋病院訪問看護ステーションの責任者として従事し、自身も義母の介護経験がある、同病院看護部長の鮎ヶ瀬光子さんに介護の心構えについて伺いました。

周囲の協力で介護者を支える

久喜市をはじめとする埼玉東北部は、高齢化率が高い地域です。高齢化に伴う介護の問題はここに限ったことではなく、「老々介護」「認知症介護」は周囲のサポートなしでは成り立ちません。家族の支援は各家庭によりますが、介護者を独りにさせない環境が大切です。2013年に開設した「済生会くりはし訪問看護ステーション」に携わり、地域のケアマネージャーさん達と一緒に、数々の介護現場を経験しましたが、「親族としての責任感」や「状況が改善しないことへの無力感」「要介護者の存在を知られたくない」といった様々な悩みから、周囲の助けを拒否して孤立する介護者が多くいます。介護者は一人で背負い込まず、良い意味で手を抜くことが長期にわたる介護には必要です。周囲もまた、そうした介護のやり方を否定するのではなく共感し、皆で支えあえれば介護者の負担は格段に減ります。また、当人がSOSを発することも重要なことです。

要介護者の願いを一番に考える

「老々介護」「認知症介護」の悩みを一人で抱え込む一因として、経済面での不安があります。まずはそれぞれの役所に相談することが不安解消の一歩です。介護保険を使えば、自己負担1〜2割で地域包括支援センターのサービス(要支援1・2)と、居宅介護支援事業所のサービス(要介護1〜5)を利用できます。また、一定条件さえクリアすれば医療保険でも受けられる訪問看護サービスを利用する手段もあります。「自分の介護の仕方があり、他人に介入してほしくない」と、こうしたサービスを利用しない人もいますが、今は訪問看護ステーションと地域のケアマネージャーやヘルパーが連携し、専門的な知識や技術を共有しているケースが増えているので、安心して助けを求められる環境が整いつつあります。利用できるサービスは積極的に活用しましょう。

介護において「ああしておけば良かった」という後悔はつきものです。看護師を長年務め、実際に介護を経験した立場から、自分たちの満足よりも要介護者の望みや選択を第一に考えてあげるのが最善だと感じます。こうした心構えは、介護における精神的な負担軽減にもつながるはずです。

▲栗橋病院の訪問看護ステーションとリハビリ科が主体となり、
地域のケアマネージャーやヘルパーに対し、看護指導などの勉強会も定期的に行う

お話をお伺いした先生

社会福祉法人 恩賜財団済生会支部
埼玉県済生会 栗橋病院

看護部部長鮎ヶ瀬光子さん

13年済生会くりはし訪問看護ステーション施設長。16年済生会栗橋病院看護部長を務める。

埼玉県済生会 栗橋病院

埼玉県久喜市小右衛門714-6

TEL:0480-52-3611

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